第66話

「祐…希……」




ドアを3分の1くらい開けたところで俺はそれ以上開けるのを止めた。




いや……。




正しくは動けなかった。




祐希と健がキスをしてたから。





胸が痛くて息苦しくなる。




改めて思い知った。




祐希が誰を好きでもいい。




祐希の傍に居れるならいい。




祐希に振られようと俺の気持ちは変わらない。




……嘘だ。そんなの。





本当は、誰にも渡したくない。




本当は、閉じ込めてでも俺の傍に居続けて欲しい。




本当は、祐希も俺のことを好きでいて欲しい。




それが本心だ。




痛いくらいに、自分よがりな願望だけが心の中を駆け巡る。




「バカだな…俺……」




ポツッと言葉を落として、やるせない気持ちを壁に拳でぶつけた。

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