第65話

「おっと。忘れるところだった。祐希ちゃんが屋上に続く階段に上って行ったのを見たやつがいるらしい」




「屋上……?」




「そう。3組のやつが見たんだってさ。俺は理恵子ちゃんに頼まれて、王子にそれを伝えに来たってわけ」




「わかった……。ありがとう」




中山に片手を挙げて、俺は直ぐに屋上に向けて走りだした。




屋上なら今日は人もあまりいないはず。




祐希が1人になりたくて教室を飛び出したんだとしたら、屋上に居る可能性は高い。




そう思って急いで屋上に続く階段をかけ上って、屋上のドアノブに手を掛けた。




メイド服で告白なんてギャグ漫画みたいだと思うけど、もう祐希に俺の気持ちを伝えてしまおうと思ってた。




気づいたんだ。




結局、



このまま気持ちを伝えずに、幼なじみのままで居続けるのも



振られて傍にいれなくなるのも




最後の“結末”は同じだって。




どっちを選ぼうと祐希は他の男を選ぶ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る