第62話
「王子様とお姫様は相思相愛だったんだけど、煮え切らない王子に愛想を尽かしたお姫様が溺愛してくれる魔王に心を奪われちゃうって話」
「……聞いたことないけど……」
佐々木さんが言った話の絵本を記憶に辿って思い出す。
フレーズに聞き覚えはあるけど、絵本には覚えがない。
そんな絵本なんてあったかな?
絵本は祐希と一緒によく読んでたんだけど……。
「あるわよ。鳶(トンビ)に油揚(アブラア)げをさらわれる。のことわざに準えて作った絵本」
わからなくて悩む俺に、佐々木さんは強い口調で言いながら、右足をパタパタと踏み鳴らして苛立ちを表に出す。
「……鳶?あ、そのことわざなら聞いたことがある。横から大事なものを奪われるって意味合いだったよね?」
「そう。前にも言ったと思うけど……ふいに横合いから大事な物を奪われちゃうって、よくあることよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます