第54話

祐希は顔を強ばらせて俺をじっと見つめてくる。




思い詰めているような、泣くのを我慢しているような、辛そうな顔で。




抱き締めようと腕を伸ばしたら、祐希は俺の腕を引いてきた。




バランスを崩してベットの中に倒れ込む。




「祐希……!?」




何が起こっているのか、一瞬理解出来なかった。




祐希は俺を押さえて上から見下ろしてくる。




甘えたい……だけ?




真剣な眼差しで見つめられて、ドキドキする。




俺、祐希にドキドキさせられっぱなしだ。




「涼…お願いがあるの……」




震える声で言われて心配になる。




やっぱり今日何かあったとか?




「なに?お願いって……」




心配になって、起き上がろうとしたら祐希がギュッと抱きついてきた。

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