第53話

祐希は俺に聞かれて驚いたのか、目を見開いて絶句してる。




「やっぱり…健なんだ?」




改めて思い知らされて胸が苦しくなる。




前から知ってたことなのに。




「違う…!私が好きなのは健じゃない」




祐希は起き上がって慌てて否定を始めた。




本当に違うのか、そうなのかはわからない。




でも、祐希は俺といるときよりも健の前だといつも楽しそうだから。




きっと、本当は……。





暫く沈黙が流れて祐希は鼻を啜り始めた。




「泣いてるの…?」




祐希の頬にポロポロと涙が零れ落ちる。




どうして祐希が泣くんだよ。




俺、傷つけたのかな……?




泣き止んで欲しくて、祐希の涙を指で拭って頭を撫でた。

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