第39話

お腹を殴られた白山は呻きながら踞る。



振り返って周りを見渡すと、あんなにいた男たちは皆、傷だらけで倒れ込んでいた。




悲惨なその状況に思わず眉をしかめる。




「健……やりすぎだよ」




喧嘩を仕掛けてきたのは向こうだけど……。



さすがに、ここまでしなくてもいいのに。




それに……




「あのさ、九蓮って何のこと?」




九蓮って何のことだったのかな?




麻雀のことじゃ無いはずだ。




九蓮宝燈の後に確かに九蓮って言ってたから。




「話は後で。それより、早く行くぞ」




健は若干焦った顔でそう言って、呆れていた俺の腕を引いて走り出した。




「……え?」




「ポリ公がきた」




健に言われて状況がわかった。




確かに遠くの方でサイレンの音が聞こえる。




通報されたのかも知れない。

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