第8話

「いいんだ。それより…大丈夫?」




体を離して祐希の顔を覗き込む。




祐希は俺に明らかに無理矢理作った笑顔を向けてくる。




そして、徐々に笑顔が引いて……大きな瞳から涙がポロポロと零れ落ちた。




「祐希……」




祐希の泣いている顔を見たのは小学生以来だった。




子供の頃は泣き虫だった祐希は最近では全く泣かなくなって。




「あ…ごめんね?大丈夫だから」




手の甲で目を擦って涙を止めようとする祐希の姿にギュッと胸が締めつけられた。




泣くくらい恐かったんだ。




どうして直ぐに気付いてあげられなかったんだろ……。




祐希が泣きたいのをずっと我慢してたこと。




「泣かないで……」




俺は祐希の頬に伝う涙をそっと指で拭った。

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