第6話
「涼……」
いきなり現れた俺に健は目を見開いて驚いてる。
驚いたのは俺の方だよ。
「キスしちゃダメだから」
カッコ悪いけど、嫌で仕方なくて。
健に苛立った声を出してしまう。
健だって祐希のことが好きで。
祐希だって、健が好きで。
でも、無理だ。
誰にも祐希は渡したくない。
そんな独占欲に包まれる。
「ぷっ……はははははっ」
健は大声で笑い飛ばす。
でも、それは本心を隠す為のものだと思う。
「冗談だよ。するわけねぇし」
だって、いつだって健は祐希にちょっかいをかけるけど……。
「わりぃ。そんな怒んなよ」
いつだって祐希に嫌われることを恐れてる。
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