第90話

「裕也さん?」




「ダメだろ。しっかり寝なきゃ。」




裕也さんは柔らかく笑って私の向かい側の席に腰を降ろした。




頭がついていかない。




どうして裕也さんがここに?




これは……夢?




茫然と裕也さんを見つめていたらマスターがカフェラテとコーヒーを運んで来てくれた。




それを受け取って一口飲む。




甘さも香りも温もりも、いつも通りでこれが現実だと実感した。




「あの……どうしてここに?」




「あぁ、本屋に行った帰りにここの前を通ったら里恵子ちゃんがいるのが見えたから来た。」




「私がいるのが見えたから……?」




裕也さんの言葉に嬉しくなる。




わざわざ来てくれたんだ。

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