第85話

「もう一度言いなさい。好きだって。言えないなら態度に出しなさい。それか誘導尋問。」




「……え?」




「はっきり言わないとわからないわよ。気持ちなんて。」




伝わらないわよ。




声に出さなきゃ。




エスパーでもない限りね?




「気持ちか……。」




「そう。気持ち。渡したくないでしょ?他の誰にも。独占欲強そうだものね。あんな見えるところにキスマークなんてつけるくらいだし。」




「バレてたんだ?」




「バレバレよ?嫌でも見えるわ。」




篠田君は恥ずかしそうに顔を背けた。




「もうさ……本当に好きなんだよ。」




「知ってる。」




「祐希は健が好きなんだ…って思うのに……半ば勢いで抱いて……罪悪感だってあったんだ。」




「…………。」




「でも……ますます誰にも渡したくなくないって気持ちが強くなって……愛情に限界なんてないんだ…って思い知った。」

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