第71話
「それは……気まずいからじゃない?」
「どうして?」
中山がきょとんと呆けた顔で身を乗り出して私の顔を覗き込んでくる。
「いえ、別に……。」
私は中山から目を反らせて言った。
私ったら……。
危うく中山に祐希の気持ちをバラすところだった。
「そ?じゃぁ続きを言うけど、第5に魔王に連れて行かれた祐希ちゃんを王子は凄い勢いで追いかけて行った。」
「…………。」
「凄い形相だったぜ。あんな王子の顔見たの俺、初めてだし。ってかあんな取り乱すなんて王子らしくねぇよ。」
「そうね。私も初めてだわ。」
いつも、優しくて紳士的で落ち着いた篠田君が慌ててるのなんて初めてみた。
それくらい祐希が連れ去られて心配になったってこと?
「ま、勝手な俺の推測だけどさ。以上の五点から推理すると、どう見ても王子は祐希ちゃんが気になって仕方がないってことになる。」
中山はストローで溶けかけた氷を回しながら楽しそうに言った。
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