第66話

「あ、トイレ………。」




祐希は俯いたまま頷いた。




樋山君は小さくため息をついて視線を祐希の首もとに下げて………




「そっか………。ってかお前髪の毛に何かついてんぞ。」




なんて言いながら祐希の髪についていた糸屑を取ってる。




あ………って気付いた時にはもう遅かった。




樋山君は一瞬で顔付きが鋭く変わる。




キスマーク………




見ちゃったのね。




嫌な予感がする。




さっきの不機嫌になった様子から考えるときっと樋山君は祐希を………




思わぬ展開にため息が出た。




まさか樋山君が煽られることになるとは………。




「お前………来いッッ。」




樋山君は低い苛立った声で祐希の腕を掴んで連れて行こうとする。




相当怒ってる………




早く止めないと………

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