第五章 実行

第55話

次の日の昼休み。




教室で爪の手入れをしていたら




「今日の放課後、学校の近くのファミレス集合で。作戦実行だ。」




中山が私の席までやって来てコソっと耳もとで囁いていった。




なかなか手順が早いじゃないの。




中山に頼んで良かったわ。




これで祐希と篠田君も結ばれるかもしれない。




そう思うと胸が弾んだ。




「なに?中山君、里恵子に何を言ったの?」




「別に。今日も可愛いね。ですって。」




祐希が不思議そうな顔で聞いてきたけど、私は笑って誤魔化した。




これで、私が誘導尋問さえすれば祐希の何十年ごしの片想いにもピリオドが迎えれるはず。




なんてルンルンになっていてすっかり忘れていた。




中山はチャラ山でもあり、バカ山でもあると言うことを。

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