第53話

「キス1回で協力してやるよ。」




中山はそう言って口もとを吊り上げて顔を近づけてきた。




キスね………。




「キスだなんて、そんなの無理よ!………なんて言うとでも思ってるの?」




「………え?」




呆気にとられていた中山の唇に私は自分の唇を軽く押し付けた。




「………契約成立ね?宜しくね?チャラ山。」




私はベンチから立ち上がってふんわりと笑った。




中山は頬を赤く染めて呆然と私を見つめてる。




「なに?報酬はあげたでしょ?」




「おまッッ!普通本気でするか?」




「あら?言ったのはあなたじゃない。キスくらい別になんともないわよ?」




それで協力して貰えるなら安いものだし。




祐希がそれで幸せになれるならそれでいい。

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