第46話

ううん。




裕也さんみたいな人じゃなくて、私は裕也さんじゃないと……




「何してんの?」




また男が私の隣に腰を降ろして声を掛けてきた。




「待ち合わせ。」




私は俯いたまま相手の顔も見ずに応えた。




「もう、1時間以上待ってんじゃん?来ないんじゃねーの?」




「来るわよ。放っといてくれない?」




素っ気なく応えたのに男は全然去ろうとしない。




「えぇー。誰と待ち合わせしてんの?男?」




「そうよ。だからさっさと消えてくれる?」




いい加減しつこいわよ。




「冷たいなー。りえこちゃんてばー。」




「え?」




急に名前を呼ばれて驚いた私は顔をあげて男の顔を見た。




「な、中山だったの?」




ただのナンパ男だと思っていた男はクラスメイトの中山だった。




「ん?気付いてなかったんだ?」




中山は気にする様子もなくケロっとした顔で缶コーヒーを飲んだ。

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