第45話

繁華街まで走った。




何度も辛くなる度に逃げ出してきた場所だった。




ここに来ると嫌でも1人でいなくて済むんだもの。




ガヤガヤとした雑音が耳に入ると乱れていた心も少し落ち着きを取り戻した。




煩わしい騒音も今の私に取ってはBGMにしか聞こえない。




私はその辺にあったベンチに座り込んだ。




走ってきたせいで息が苦しい。




でも、家にいるときよりは全然苦しくなくて、清々しい気分だった。




「君、1人ー?」




「暇だったら俺と遊ぼ?」




チャラチャラした男が次々に声を掛けてくる。




「………イヤよ。」




別にナンパが嫌なわけじゃない。




チャラチャラした男は好みじゃないの。




裕也さんみたいな……誠実な人が好き。

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