第37話

息を整えた私は祐希の部屋をノックした。




「はい?」




明るい声が聞こえて祐希が部屋のドアを開けてくれる。




「お兄ちゃんはもういいの?」




祐希は私を中に招き入れながら不思議そうに首を傾げた。




その言葉はきっと




"お兄ちゃんとの話しは済んだの?"




だと思う。




でも今の私にとっては




"もうお兄ちゃんを諦めるの?"




に聞こえた。




諦めること……出来るかしら?




振られたのにどこか実感がない。




ベットに座った祐希に続いて私は床の上に座った。




また泣きそうになってきた。




「今日も……逃げられてしまったわ。」




ため息がでる。




本当は完全に逃げ切られたんだけど………。




それを認めたくなくて嘘をついた。




「お兄ちゃん……また、逃げたんだ。」




祐希は苦笑いを浮かべてる。

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