第38話

逃げ切られてしまった今、もう裕也さんに近付くことも出来ない。




そのうち、知らない間に彼女が出来てしまうのかしら?




「こうしてる間にも裕也さんに彼女が出来てしまったら………?」




嫌だ。




そんなの嫌だ。




頭をぶんぶんと横に振って思い込みを頭から消し去る。




「お兄ちゃんに?ないない。絶対ない。」




「そんな……あんなに素敵なのにッッ。モテるに違いないわ。」




祐希はきっぱりいい切るけど………。




あんなに素敵な人だもの。




里恵子が好きになったように他の人も………。




あぁーダメね。




恋をすると。




どんどん深みにはまっていく。

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