第23話

「ねぇ、樋山君は運命って信じる?」




「は?んなの信じねぇよ。」




樋山君は不機嫌そうに言葉を吐き捨てて、祐希のお兄さんの部屋のドアノブに手を掛けた。




「そう……。」




運命なんて確かにないと思う。




生きていく中での出来事は全て自分の選択で変わっていく。




未来は自分で造りあげていくものだもの。




決められたレールに添って進んでいるんぢゃない。




自分が選らんで、自分が決めて、自分で進んでいく。




自分次第で何百通りの未来がある。




例えば、右を進めば出逢っていた人と左を進んだ為に会えないかも知れない。




でも、左を進んだからこそ本来出逢えなかった人と会えたりもする。




そんなものだと思う。




人生って。




だから運命なんてあるはずがない。




全ては"偶然"の重なりで出来ていて、"必然"なんてあるはずがない。




そう思うのに……。

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