第20話

「樋山君。理恵子も連れて行って!」



叫んだ。




連れて行って欲しくて。




淡い期待に賭けている私を"裕也"さんのもとに。




樋山君は部屋のドアノブに手を掛けたまま振り返った。




「……は?」




急に立ち上がって叫んだ私に目を見開いて驚いてる。




「里恵子……?」




「佐々木さん?」




祐希も篠田君も不思議そうな顔をしている。




でも、そんなの関係ない。




「ユッキーのお兄さんのところに里恵子も行きたいの。」




行きたい。




行って確かめたい。




違ってもいい。




ただ、確かめたい。




「なんだよ。お前、俺がいねぇのが寂しいとか?」




樋山君はニヤニヤ笑って私を見てる。




「全然。ただ、ユッキーのお兄さんに会いたいだけ。いいでしょ?ユッキー。」

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