第4話
これで、この男もいつもみたいに逃げて行く。
中学生なんて勘弁って。
「マジかー。18歳くらいに見えたし。あ、俺は山下晶人(ヤマシタ アキト)君は?」
晶人と名乗った男は驚くだけ驚いて逃げださずに私の向かい側の席に座った。
いつもは誰も座ることがなかったイス。
相席していいだなんて言ってないけど。
逃げださなかったことが少し嬉しくて追い払うのは辞めた。
「里恵子。佐々木里恵子(ササキ リエコ)よ。」
晶人にフルネームで名乗られたから私もフルネームで返した。
ただのナンパで名字まで名乗る男も珍しいなって思いながらクスクス笑った。
「なに?何か笑えるとこあった?もしかして偽名とか?」
「偽名なんて使うわけないでしょ?本名よ。」
不思議そうな顔で私を見つめる晶人にふんわり笑い返す。
晶人は少し頬を染めて私から目を反らせた。
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