第9話
「いい加減諦めて合コンでも行く?」
加奈の声で我に返る。
加奈と話していたんだった。
どうにも夏休みと言うフレーズはあの日の夜を思い出す。
「合コンか……」
諦めて新しい出会いを探した方がいいのかな?
もう望みなんて全くないもんね。
「何が合コンだよ」
そう言われて急に触れられた大きな男の手。
肩に触れられただけなのに、胸が高鳴る雅史の手。
不意打ちでこんなことをするなんて卑怯だ。
不覚にもドキっとしてしまった。
「ま、雅史…?友達と話してたんじゃないの?」
さっきまで友達と話し込んでいたくせに、いきなり私のとこに来るから驚いた。
「別に。合コンなんて行くなよって言いたかっただけ」
雅史はフィっと顔を背けてまた友達のもとに戻って行った。
雅史は媚薬でもあり毒でもある。
私を絶頂に昇らせたり、絶望に落とし込んだり忙しい男。
そんな男に心底惚れ込んでる私はバカだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます