第3話
今思えば達哉は昔から相当意地悪なやつだった。
大事にしていたクマのヌイグルミは取られるわ、肩に毛虫を乗せられるわ、いつも意地悪なことを言ってばっかり。
でも、それは本当の意地悪じゃない。
いつだって意地悪なことの裏には本当の気持ちが混じってた。
「お前と俺が恋人になる確率はロイヤルストレートフラッシュぐらいの確立だよな」
「何それ?」
「別に。ありえねぇってこと」
「えー」
「……何?お前まさか俺と付き合いてぇの?」
「そんなわけないじゃん」
「あっそ。俺だってお前みたいなブスとなんてありえねぇし」
意地悪な言葉も子供じみた悪戯も全ては愛情の裏返し。
わかってた。そんなこと。
達哉の気持ちは言われなくたってわかってたんだよ。
でも、はっきり聞きたかった。
“好きだ”って。
だから嘘をついたの。
“親友”だって。
俺は違うとか言って欲しくて。
達哉の気持ちが聞きたかった。
それだけだったのに。
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