りせいなんて欠片なの

第4話

現実は上手くいかないものだね。



思い通りになんていかない。




いつだって達哉は私がいなくなることに怯えてた。




「逃げたらこの間撮った写真、ばら撒くからな」




吐き出される言葉は辛い言葉。



そんなことを言わなくても私は達哉から逃げたりしないのに。




力で押さえつけて捩じ伏せてくる。



携帯片手に脅迫をする達哉の方が傷ついているくせに。




達哉は楽しそうな声とは逆に今にも泣きそうな顔をしていて。




画面に映し出された写真よりも、そんな達哉を見ていられなくて……私はそのまま目を伏せた。




「……消してよ」



「は?嫌だし」




グッと眉間に皺を寄せて達哉は苛立ちを私に見せる。




そして、こうなった後はいつだって私を乱暴に抱いて、




「あーあ。お前、俺から逃げらんねぇな」




そう言って満足そうに笑うんだ。




私が泣けば泣くほど喜んだふりをして。



ポーカーフェイスの下に隠された本当の顔は苦痛で歪んでいるはずなのに。




「飽きたら解放してやるよ」




虚勢を張って偽り言を吐く。

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