りせいなんて欠片なの
第4話
現実は上手くいかないものだね。
思い通りになんていかない。
いつだって達哉は私がいなくなることに怯えてた。
「逃げたらこの間撮った写真、ばら撒くからな」
吐き出される言葉は辛い言葉。
そんなことを言わなくても私は達哉から逃げたりしないのに。
力で押さえつけて捩じ伏せてくる。
携帯片手に脅迫をする達哉の方が傷ついているくせに。
達哉は楽しそうな声とは逆に今にも泣きそうな顔をしていて。
画面に映し出された写真よりも、そんな達哉を見ていられなくて……私はそのまま目を伏せた。
「……消してよ」
「は?嫌だし」
グッと眉間に皺を寄せて達哉は苛立ちを私に見せる。
そして、こうなった後はいつだって私を乱暴に抱いて、
「あーあ。お前、俺から逃げらんねぇな」
そう言って満足そうに笑うんだ。
私が泣けば泣くほど喜んだふりをして。
ポーカーフェイスの下に隠された本当の顔は苦痛で歪んでいるはずなのに。
「飽きたら解放してやるよ」
虚勢を張って偽り言を吐く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます