第4話

「頬杖は顔の歪みを助長するよ?」


キンとジッポの蓋が指で弾き開けられた音がした。


「あたしが歪むのは面倒臭い大人の所為。」


「そんな時ばかり子供ぶるなよ女子高生。」


花屋の店主はあたしの手首に手を掛けて引いた。


ガックンと頭が手からずり落ちて、あたしは花屋を睨み付ける。


「漸(ヨウヤ)く顔を拝めた。」


花屋はニッコリと満足げに微笑んだ。


どうだ、悔しいだろ?そう言わんばかりに。

こんな意地の悪さもいつも通り。



「あーあ。働いて有り付けたのはアイスコーヒー1杯じゃ空腹で死んでしまうよ。」


「それは見ものね。」

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