第5話

「紅(コウ)、お前は可愛くない女だ。

良いか?大人には敬語、労働者には労う気持ちが大事だ。」


説教染みた台詞を23の男が吐くものなのか。

あたしはそっと心に書き留める。


『23歳、ジジイ』と。



「子供扱いするなって言ったのはお前なのに、今日は子供なんだな。

ややこしいヤツ。」


半年前の言葉を覚えていたんだ。

あたしは少しばかり驚いた。


「覚えてるの?」


「当たり前。お前が初めてあげた産声だからな。」


ちゃっかり産声とか言って、子供どころか赤子扱いする気か。


 

「ほらベビー。行くでちゅよ。」

アイスコーヒーを一気に飲み干すと、あたしを従えて店を後にする。


『ブロッサム』週6日の光景だ。

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