第34話

「なんで必死だったの?」


「そりゃあやの朝チュン記録を止めてあげたかったからだよ」


「朝チュン記録?何それ?」


「すっ惚けるな。酔い潰れて、持って帰られて、付き合うってのが定番の流れだったくせに」


「あぁ、そう言えばあったね。そういうのも…」




確かに何度かあった。


それも決まってきょうちゃんが他の女の子と歩いていた日の夜だ。



あの時の私にはきょうちゃんに新しい彼女が出来たのかな……と思うと寂しくて。


全部が全部どうでも良くなって。


『まぁ、いっか』ってそんなノリで。


何もかも忘れたくて別の道に逃げてた。


結局は本当にただ一緒に歩いていただけだったんだけど。




「だからあやと初めて寝た時、死ぬほど腹が立ったわ」


「どうしてよ?」


「今までこうやって食われてきたんだなって実感して」


「思わないでよ」


「まぁ、流石さすがに3年も独占してれば思わなくなったよ」


「独占してたの?」


「してたでしょ。俺だってされてたし」


「じゃあ、やっぱり私が酔ってて忘れてるだけだったりする?」


「何を…?」


「だから付き合うとか恋人になるだとか、そんな話……」



シバセンの言う通り。


付き合う話をして、それを私が忘れてるだけ?



酔い潰れて、寝て、付き合うって流れ自体はよくしてたし。


あの時は心底泥酔してたから覚えているようで覚えてなかったのかも?



それにしたってここ3年、恋人らしさはなかったけど。

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