第30話

「……きょうちゃん」



シバセンから離れ、友達と話していたきょうちゃんに声を掛ける。



「あぁ、おかえり。話してきた?」


「うん」



話し込んでいたきょうちゃんは振り返ると普段と何ら変わりない顔で笑った。


機嫌良く。



「ほんと仲良いよな。お前ら」


「まぁね」


「付き合って何年目?」


「んー、生まれた時からだから25年?」


「生まれた時からかよ」




ケラケラ笑う友達にきょうちゃんも同じように笑い返す。


何だか皆ハイテンション。


相当酔っているらしい。


そのまま引き摺り込まれるように話の中に私も交ぜられる。



注意深く話を聞いてみれば、シバセンが言ってた通りその場に居る全員が私ときょうちゃんの仲を恋人だと思っているような様子だった。


自分で言ったんだから勘違いされて当たり前だけど、さっきシバセンと色々話してただけに何だか落ち着かない。



当たり前のように彼女扱いされてて変。



そのくせ、このままなし崩し的に彼女になってしまえたら……とか、そんな狡いことばかり考えてしまう。

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