第29話

まぁ、確かにシバセンの言う通り。


毎年1月にきょうちゃんと2人で旅行には行っている。



温泉だったり、テーマパークだったり、何となく行こかって流れで。


だけど、他の月に行くことだってあるし、その時の態度とか会話とか思い出してみても別に普通。


単に友達と旅行してるだけって感じ。


そこに恋人らしさは皆無だ。



そりゃ、体の関係がなかったのかと聞かれればあったけどさ。





「んー。でも…、好きとかそういうの言われたことないし」


「そんなの照れくさくて言わないだけじゃん?」


「そうかな……」


「ってか、もし仮に2人が本当に友達だとしてよ?あやきょうちゃんとの関係が恋人に変わったら嫌なの?」


「別に嫌じゃない」



それはそれでいい。


そりゃ最初は動揺はするかも知れないけど、結局は笑って「そっか」と納得だ。


むしろ、そうなることすら望んでいる。




「だったら話は決まり。今すぐきょうちゃんと話してスッキリさせてきな」


「い、今?」


「良い報告を待ってるわ」



そう言ってシバセンは飲んでいたお酒を一気に飲み干した。


絶対、私の解釈であってるよ〜。と自信満々な笑みを零して。

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