第28話

「大体ねー、付き合ってないって言う方が変。誰も信じないと思う」


「そんなに付き合っているように見える?」


「見えるよ。頻繁に会ってるし、家にも行ってるみたいだし」


「いや、そこは普通に友達として会ってるだけだよ。恋人らしさなんて全然ないもん」


「そうなの?じゃあ、体の関係は無し?だったらまぁ、疑いたくもなるわね」


「いや、それは、まぁ……」


「あるの?」



ゴニョゴニョと言葉を濁す私を見て、シバセンは声もなく呆れたように笑った。


もー、バカね。と言いたげに。




「なるほど。それはもう、あやだけが友達だと思い込んでいる説で確定じゃない?」


「そうなのかな…」


「だって考えてみて。誕生日もクリスマスもバレンタインも一緒に過ごして、祭りも初詣も旅行も2人で行って、定期的にデートとお泊まりもして、プレゼントも渡し合う、体の関係まである、ただの友達とか有り得ないでしょう」


「そう?たまに居るじゃない。そういう人……」


「幾らなんでも居ないわ。してやお互い恋人も作らず、浮気もせず、付き合ってると周りに言い振らし合う友達なんて」


「うっ」


「逆に何が足りないの?記念日のお祝いとか?あ、でも、毎年1月くらいに行ってる旅行がそうかな」



運ばれてきた新しいお酒をウエイターから受け取り、シバセンは記憶を掘り起こすように淡々と語る。

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