お友達

第21話

「おめでと〜。お幸せに〜」



ガラス張りの小洒落こじゃれたダイニングレストランの中央。門出を祝う自分の声が沢山の声と交ざっては溶けていく。




挙式、披露宴、二次会、三次会……。友達の結婚式に参加すること数時間。


場所を変えては飲んで、また飲んでの繰り返し。


一向に終わりが見えない。



ホント“祝いの席”って言い訳は人間のたがを外すらしい。


飲み過ぎて倒れそう。


一生分くらい飲んだかも。




「潰れないでね」


「ごめん。自信ない」


「ないのかよ」




手をパタパタとさせて顔を仰ぐ私に、きょうちゃんは呆れたような笑みを浮かべる。


「勘弁してくれよなー」って。



そりゃ私だって潰れたくないさ。普段は結構セーブするし。



だけど、きょうちゃんと一緒だとやばい。今だってメーターは完全にバグっている。



それでもお酒をそそがれると笑顔で口を付けてしまうんだから、私って本当にバカだと思う。


と言うか、っからの断れない性格なのかも知れない。




「だから飲み過ぎだって」


「やーね、飲んでるんじゃない。飲まされてるんですよ」


「だったら断れ。それ以上、飲むな」


「ねー…」


「ねー、じゃねーわ。ヤメろって」



ヘラヘラ笑ってたらきょうちゃんから持っていたグラスを取り上げられた。


ふざけんなって顔をされたけど、きょうちゃんの気持ちはよく分かる。



君が正しい。


さすがにキツイ。

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