第20話

「本気で?」


「うん」


「付いてきて来れんの?」



それが意外だったのかきょうちゃんは真顔で私を見つめてきた。



何か異様に真面目。真剣。


探るような視線を向けられ、心が気まずさに包まれる。




「嘘だよ」


「なーんだ。嘘か」


「行くわけないじゃん」


「つまんね」



耐えられずに首を横に振ったらきょうちゃんは不貞腐れたように枕に顔を埋めた。


心底つまらなさそうに。



なんでそんな反応をするんだか…。

 

寂しがってもくれないくせに期待なんかさせないで欲しい。



どれだけ中身が詰まってそうに見えたって、私達の関係なんて蓋を開ければ空っぽ。


きょうちゃんの未来に私は存在しないんだから。

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