第19話

「どう?良い感じじゃね?」


「うん。良いマンションを選んだね」


「だろ。実際、見たらもっと広いし、綺麗だった」


「周りの環境も良さそう?」


「良いと思うよ。便利だって良いし」



新しい場所に行くのが楽しみで仕方ないのか、きょうちゃんは落ち込みつつあった私に笑顔を返してくる。


全く。こっちは気が気じゃないのに楽しそうに笑っちゃってさ。


会うのに電車で何時間って距離になってしまうのに全然寂しがる様子もない。


本当に薄情な。



「あんまり会えなくなるね」


「あー、そうだな」


「寂しい」


「そ?じゃあ、一緒に来る?」


「そうだね。付いて行こっかな」



資料を見てたら寂しくなって思わず素直に頷いてしまった。


仕事とか家とか変わっても特に未練もないし。貯金もまぁ、それなりにはある。



彼氏だっていないしね。

友達とは時々会えたらそれでいい。

だったら、それも悪くないかなって。

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