第17話

そうやって隠すのはきょうちゃんに彼女が出来る度に私が会おうとしなくなるからだ、ってのは分かってる。


きょうちゃんが私にそうされるのが何よりも嫌っていうのも分かってるよ。


分かってるけど、ヤメられない。


彼女の隣で笑っているきょうちゃんなんて見たくないし、それで気持ちが荒れている自分を見せたくないって、自分でもどうしてそこまで嫌なんだか分かんないけど、そう思ってしまう。



だから仕方ない。


隠されたって自業自得。



でもね、あの時は知らない内に浮気相手になっててショックだったんだから。


あの日からそんな素振り1度もないけど、今までのことを思えば単に隠してるだけかなとも思う。




「なんで私とするの?」


あやがしたそうな顔で見てくるから」


「してないし。そんな顔」


「してたよ。だから昨日だって責任を持って抱いてあげたんじゃん」


「いや、そこはもう変な使命感なんか持たなくていいから紳士的な対応をして欲しいんだけど」


「オケー、オケー、考慮しとく」



割と本気で言ったのに、あしらうように適当に流される。


全くする気が無さそう。


ケラケラ笑っちゃってさ。



でもまぁ、そうなったら絶対に流される自信はあるから、出来ない約束をしないだけ、ある意味、誠実なのかも知れない。

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