第10話
「生きてた?」
「
「なら良し。俺も入ってくる」
部屋に戻り、立ち上がった
独りぼっちになった部屋の中。テーブルの上には私が来た時にいつも使うコップ。
中には冷えた水が入っている。
「いつもそうだなぁ……」
何だか感傷的な気分になって一人寂しく呟いた。
あの日もそう。お風呂から出たら、こうやって水が用意されてた。
そして戻ってきた
そのまま流されるように、あの日の私は
だって大人になった私達の人生は、良い意味でも悪い意味でもバラバラに進んでいて。教室で過ごしていたあの時みたいに交わることはもう無いんだな…、と思うと何だか無性に寂しくて。
変わることなく傍にいてくれる
何か消えない繋がりみたいなモノが欲しかったのかも知れない。
体を繋げば心も繋がる。そんな、単純な考え。
終わってしまえば、簡単に離れてしまうのに。
あの日の私はお互いが鎖で繋がれた気分だった。
だから何度も何度も出そうになった好きって言葉を喉の奥に流し込んだ。
止め
どうしてそんな言葉が出てきそうになったのかさえ、あの日の私には分からなかった。
離れられなくなってしまった今なら少しは分かるけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます