第9話

口では何だかんだ言いつつも、こうやって家に連れて帰ってきて、介抱までしてくれるんだから、きょうちゃんはやっぱり優しい。



だからかなー。きょうちゃんと飲むと、ついつい気が緩んで飲み過ぎる。



甘えてるからか、安心しきってるからか、いつもそう。



友達の結婚式、飲み会、成人式、同窓会……ありとあらゆる場面で同じことを繰り返してきた。



何度も。懲りることなく。




3年くらい前だったかな……、高校の同窓会があった夜。



久々に会った同級生達と盛り上がって、三次会までノンストップで飲みに飲みまくって潰れたあの日。



あの日もきょうちゃんは私を見捨てなかった。



『しょうがないなー』と笑って、おぶって、連れて帰って、水を飲ませて、寝かせて、それで…。




「今日はもう寝たら?」


「……やだ。お風呂に入る」


「寝るでしょ」


「寝ないって。そこだけは絶対的な自信がある」


「だったらいいけど。ホントそれだけは勘弁してよ」




我儘を言い出した私に呆れた口調を返しつつも、きょうちゃんは洗面所まで連れていってくれた。



コテっと寝てしまいたい気持ちもあるけど、化粧だって落としたいし、浴びないとスッキリしないから。



それにまぁ、このまま直ぐに寝るってのはないだろう……と、若干フラフラしつつもシャワーを浴びて軽く目を覚ます。

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