第4話

そうだ。私がこうなったのもきょうちゃんと一緒に過ごすのが楽しすぎるのに原因がある。



この男は無駄に居心地がいいと言うか、一緒に居ると肩の力が抜けるし、和むし、落ち着く。



気も使わせないし、面倒見も良くて甘やかし上手。



無言でいようが平気。まるでビーズクッションに埋もれて漫画でも読んでいるような気分になる。




だからか、ついつい彼氏よりも優先順位を上げてしまい愛想を尽かされること数回。



気付けばここ3年ばかりお一人様だ。



出会いはあれど、しっくりこない。誰といたって高さの合わない枕のよう。




「そう言われても。連絡してくるのはいつもあやの方だし」


「まぁ、そうだが…」


「それに過去は過去。次は逃げられないように、しっかり捕まえておけばいいよ」


「えー。捕まえるってどうやって?」


「そうだねー、いっそ刺しちゃえば?」


「はい?」


「杭か何かを打ち込むようにブスっとさ」




ニコニコと穏やかに笑いながら、きょうちゃんは杭をぶっ刺す真似をして私に物騒なことを言う。



“ココ、ココ”なんて笑いながら心臓を叩いて、本気か冗談か、わからない。

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