第3話

うん。まぁ…、確かにきょうちゃんの言う通り。



まだ20代半ばだし、そんなに焦る年齢でもないとは思う。




だけど、だ。友達は次々と結婚していくし、彼氏も居ないし、仕事は忙しいし。



そんな状況下で自分をよく知る人から『嫁の貰い手がない』なんてまさにその通りな忠告をされたら心配になってしまう。



私、このままで大丈夫かな?って。



だって皆は結婚に向かって順調に走り出しているのに、私はまだスタートラインも切れていない。



何なら靴紐すら結べていない状態だ。本当にただ呆然と突っ立って走っていく皆の背中を見ているだけ。



既にゴールをして次のレースに移った友達だって居るのに、私はいつまで経っても走り出せないまま。



今は同じラインに立っている目の前の男も、ひょっこり『彼女が出来た』とか言って私を置いて行きそうだし。




「はぁー。このまま誰にも貰われることがなく枯れていったら、どうしよう…」


「咲きもする前から枯れる心配か」


「だって今までの恋愛遍歴を思えば充分あり得る」


「そう言えば誰とも長続きしなかったね」


「それは!きょうちゃんの所為でもあるんだからね!」



堪らない気持ちになり、思わず恨みを込めてきょうちゃんを睨む。



本当にこの男は。も自分は無関係ですと言わんばかりに呑気に笑って。



言ってしまえば、私がこうなった原因の種。



“理由そのもの” みたいなものなのに。

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