第18話

目を開けると俺は道路にいた。



本気で寝てたのか?



ってかひき逃げかよ。



俺は呆れてため息をついた。



あの黒猫は……?



辺りを見渡して黒猫の姿を探すと、さっと路地裏に入っていくのが見えた。



どうやら黒猫も無事だったらしい。



良かった。無事で。



俺はホッと安堵した。



「元気でな」



そう呟いたとき、ふいに背後から名前を呼ばれた。


振り返ると紗知が立っている。



俺は驚いて目を見開いた。



どうやら夢じゃなかったらしい。



こんなにも愛しくて、心の底から会いたいと願った君が目の前にいる。



涙が溢れそうだ。



でも、泣かない。



君に伝えるまでは。

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