第10話

君は雨の日が好きだった。



普通は快晴だったり、天気がいい日に出掛けたがるはずなのに、君は雨の日だけ出掛けたがる。



正直、不思議だった。



どうして雨が好きなのか。



ずっと気になっていた俺は何となく君に聞いた。



君は恥ずかしそうに俯いて



「だって、雅治さんがあの日のように感情的なキスをしてくれる気がするから」



と言った。



たいした理由じゃないと思っていた俺は胸が苦しくなった。



その時に、いつも淡白な俺に寂しく感じていたんだと思い知った。



告白された日のキスからもう随分な年月が経つのに、君の愛情が全く変わっていないことが凄く心に響く。



そんな君に俺は何年かぶりに情熱的なキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る