第6話
俺が30歳で君が25歳のとき。
俺は本社に赴任することになった。
赴任先はとても遠くて……。
君との恋愛は必然的に遠距離恋愛になることになった。
君は「おめでとう」と笑って
「離れるのが寂しい」と泣いた。
そんな君に俺は「俺も寂しい」とは言えなくて。
泣く君をただ慰めることしか出来ない。
その日から泣き虫な君は俺の前で泣かなくなった。
いつも俺に笑ってくれていて。
でも、その笑顔がぎこちないことにはすぐに気づいた。
引っ越しの日が近付く度に俺は昇進が嬉しい反面、君を失うんじゃないかと不安で仕方なかった。
君を失いたくない。
俺の中で君は何よりも特別だったんだ。
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