第4話

雨が降る、会社の忘年会の帰りのことだった。



俺が26歳で君が21歳のとき。



君は帰ろうとする俺を呼び止めて頬を赤く染めて言ったんだ。



「佐藤さんのことが好きです!私と……付き合って下さい」



夢だと思った。



愛しいと思いを寄せる君からの告白に。



暫く呆然として声も出せなかった。



何も言わない俺に君は顔を俯かせて手をギュっと握り締める。



俺は震えそうになる声を必死に押さえてただ一言



「いいよ」



とだけ言った。



言った後、もっと気の効いた言葉を選べば良かったなと後悔した。



でも、君は俯いていた顔を上げて嬉しそうに笑った。



その笑顔がやっぱり可愛くて。



気付けば俺は傘を投げ捨てて、君にキスをしていた。

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