第3話

俺が25歳で君が20歳のとき。



俺たちは同じ職場で働く所謂上司と部下と言うやつで。



泣き虫な君はミスをする度に給湯室でこっそり泣いていた。



そんな君の泣き顔が放って置けなくて俺は君を給湯室で見掛ける度に抱き締めた。



今思えばセクハラだなんて訴えられてもおかしくない。



でも、君はいつも泣き止んだ後に俺にふんわりと柔らかく笑ってくれた。



「ありがとうございます」



そう言って。



俺は…その笑顔が見たくて君を抱き締めていたのかも知れない。



純粋に君のことを可愛いと思った。



いや、もうあの頃から俺は君のことが好きだったんだ。



でも、俺は自分からその思いを伝えることは出来なかった。



君に拒絶されることが怖くて。

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