20、25

第8話

20歳の時。



家のリビングでクッキーを食べながらテレビを見ていたら、昭太に、



「一緒に暮らそう」




と言われた。




純粋に嬉しかった。同棲しようと誘われて。




でも、あたしはこの年になっても素直に頷けなくて




「えー。一緒に?やだよ」




また断った。



でも、昭太はそんなあたしの気持ちを見透かしていたのか、あっさりとは引かなくて。




「じゃあ、31ゲームで勝負な! じゃあ、俺から『1』」




先手を打って私が負けるように仕向けてきた。



このゲーム1番最初に1を言えば絶対に負けないんだって~と、どこかから仕入れてきた勝利方法を自信満々に話す昭太。



そんな昭太が愛しくて堪らなくて。




「もう!わかった。一緒に住むから」




その日、あたしは初めて素直に頷いた。

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