第2話

真梨まり。俺、寝ちゃいそう」



「いいよ。寝れば?」




あたしは彼……昭太しょうたに腕枕をされながら小さく頷いた。



昭太はあたしの頭を優しく撫で、さらにギュッと強く抱き締めてくる。




「うん。ゴメン……先に寝る。おやすみ」




昭太はあたしに申し訳なさそうに謝るとそっと目を閉じた。



昭太は申し訳なさそうだったけど、正直あたしにとっては寝てくれた方が都合がいい。




最後の時間をゆっくり堪能出来るから。




1人でじっくり考えて彼が起きるまでに25年間あたしと共に歩んできたものと別れる迷いを全て消し去りたい。



少し寂しいけど、こうなることは産まれる前から決まっていたから……だから潔くお別れだ。




今日、あたしは別れを告げる。

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