第81話




「ちょっと、新城君っ。どういうことよ!あたし、聞いてないわよ!海外なんて」




ついつい開口一番、責めるようなことを言ってしまう。



本当は彼女を泣かせちゃダメでしょう……って親父心で説教をしようとしたはずが。



まぁ!あなた、あたしを捨てる気?なんて台詞が付きそうな勢い。




反射的に睨んでしまったけど、許して欲しい。


彼女を泣かすなんて女の敵!ってあたしの女心が騒ぐのよ。


あたしってば強気な女なものだから、ついついドコに行ってもお節介な友達ポジションを取りがち。




「言ってなかったっけ」


「聞いてないわ!」


「研修で1ヶ月留学するだけです」


「あら?学校の?」


「はい」



尋ねると新城君は大真面目な顔で頷いた。


どうやら学校のカリキュラムの一環で一ヶ月ばかり行くだけらしい。



ああ、そうか。


確かに留学ついて話を聞かれたことがあったわね。


あたしも過去に行ったし、どんな感じだったか話したわ。



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