第70話

「いっそ首輪が欲しい」


「そんなの付けなくたってお前は俺のもんだろ」


「違うわ。あなたに付けるのよ」


「好きにしろよ」



そう言ってショウは鼻で笑って歩いていく。



好きにしろって冷たいわね。


もっと優しく言ってくれたっていいじゃないの。


むしろ、手くらい繋いでよ。


今日はクリスマスなんだし。



だって周りの恋人たちを見なさいよ。


皆、仲が良さそうじゃない。


私たちなんて下手したら姉弟に見られてるわよ。


ほんと見てるのはいつだってショウの背中ばかり。


視線は常に一方通行だ。


たまにはコッチを見てよ。


なんて思っていたら突拍子もなくショウが振り向いて「あ、そうだ」と呟いた。



何かと思えば細長い箱を渡される。




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