第61話

「なーんだ。良かった~。じゃあ、早く行こ?」



「おー」




頷いた俺にカンナは笑顔を浮かべた。



本気で心底安心したように機嫌良く飛んできて、俺の膝に頭を乗っけてベッタリ。



人の膝の上でゴロゴロしやがって、お前は猫か。



何でだか普通に頭を撫でてやってる俺も俺だ。




「早く行かなきゃダメなんじゃねーの?」



「そうだけど……。ちょっとだけ」



「ふーん」




別にお前がそれでいいなら俺はいいけどよ。なんて素直に状況を受け入れ始めつつある俺。



しかし、やたらめったら嬉しそうに抱きつかれて困惑。




ドッキリじゃねぇだろうな…?って一瞬疑う。




けど、それはねぇかって一瞬で考えを捨て去った。



そんなドッキリ、あの嫉妬の鬼なナオが許すはずがねぇ。



提案した時点で即却下だ。

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