第21話

「誰?」



「いや、何が?」





咄嗟にすっとぼけたものの、ナオは絶対零度の冷えきった目で俺をじっと見つめる。



やべぇ……。本気で怒ってる。



いや、犯人はアヤトだ。そう。間違いなくアヤト。



けど、俺も知ってて止めなかっただけにかなり気まずい。



冷や汗が流れる。





「酔わせて眠らせた上に脱がそうとするとか……」



「違う!ほんと、飲ませたのは俺じゃねーから!」



「じゃあ、誰が飲ませたの?」



「ア、アヤトだよ……」



「はぁー。あいつ、ほんとハゲればいいのに」





観念して正直に言った俺に、ナオは机に肘をついて呆れたようにため息を零す。



ブチ切れられるのは阻止したけど、それでもまだ若干気まずい。



脱がそうとした犯人は俺だし。

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