第19話

「寝てていいよ」




さっきのことなんか忘れたようにナオは機嫌が良さそうにカンナの頭を撫で続ける。



でも、ふと手を止めたかと思うと、カンナの頬に指を滑らせて訝しげに眉を顰めた。



やばい。顔が赤いことに気づかれたかも。



飲ましたことがバレそう。





「ナオ…、」



「ん?」



「チューは…?」





タイミング良くカンナがナオの腕に擦りつきながらキスを強請る。



いつもこうやってナオに甘えてんだな、って嫉妬心と助かったって安堵感が心の中を埋め尽くす。



とにかく今のうちに逃げようと立ち上がったら、ナオがちょっとだけ申し訳なさそうにチラっと俺を見た。



違うつーの!!気なんか利かせてねーよ。



んだよ、このリア充が。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る